建築面積 | 有限会社 海老原建築

有限会社海老原建築

Column

2024.02.16

建築面積

建築面積。建蔽率の算出根拠ですね。

定義としては、

『建築物(地階で地盤面上1m以下にある部分を除く)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(1m以上はね出すひさし等はその先端から1m後退)で囲まれた部分の水平投影面積による。』というもの。

水平投影面積ってなんじゃい。というと、真上からみて、地面が見えないところの面積、という感じ。

新築なんかは別に設計士に任せておけばいいので、一般の建て主さんが気にする必要はありませんが、今回はその注意ポイントについて。

  • 無意識に違法になっている

新築時、もちろん確認審査機関などで確認申請をおろしているので、その建物が違法なまま建つというのは可能性としては低いです。(ゼロではない。。)
問題が起こりがちなのは、完了検査がおわって、検査済証が発行されてから、建て主さんが自分でやる工事、または単独で外構業者さんへ依頼する工事です。

  • 物置

よく見かけます。ボンっと庭や駐車場脇なんかに置かれてます。

基本的に、開放性等緩和もないので、建築面積に算入されます。

「基礎も作ってないし、ブロックにポンと置いてるだけだから大丈夫でしょ」とか言う方もいますが、

「土地に定着している」状態で、「柱または壁のいずれかがある」「屋根がある」などの条件が揃うと「建築物」の扱いになります。

「随時かつ任意に移動できるとは認められないもの」は「土地に定着する」と判断されるので、たとえ単管の仮設建築であろうと、容易に移動できずにその場にずっと設置し続けているものは「建築物」として扱われるでしょう。

なので、建築面積には算入。

そもそも、ブロックにただただ置いているだけだと危険です。台風なんかで転倒します。危険。

しっかり基礎をつくるか、ブロック基礎だろうとアンカーボルトで緊結すべき。基礎自体も建築基準法への適合は必要なので要注意です。

  • カーポート

カーポート。屋根付き車庫というイメージですね。

これも建築面積に算入が必要です。

勘違いしがちなのは、「緩和措置が受けられる」ことです。

「算入されない」のではなく、「緩和措置が受けられる」。。

  • ①外壁を有しない部分が連続して4m以上であること
  • ②柱の間隔が2m以上であること
  • ③天井の高さが2.1m以上であること
  • ④地階を除く階数が1であること


の4つの条件を満たしている場合、建築面積の緩和措置が受けられますが、「無条件で建築面積がゼロ」にはありません。柱や庇部分の先端から1m部分は建築面積から除外してOKになる、という感じです。

車庫1台分が仮に2.5m×5.0mだとして、カーポート自体が3m×5mだとしたら、だいたい建築面積は3㎡とかそのくらいに緩和されます。

建築面積がギリギリの状態だと、カーポートを置いた瞬間に違法状態になることもありますね。

ちなみに、サイクルポートなんかも扱いは一緒です。屋根付きだと要注意。


ここで書いているのはあくまでも「建築面積」のお話です。「高さ制限」や「確認申請の要不要」、「延焼のおそれのある部分」など、物置やカーポートは以外といつの間にか違法、となっている可能性が高い案件です。

「外構業者さんに任せていたのに」などは違反建築の言い訳としては通用しません。建て主にも無論責任はかかってきます。

違反建築になっていた場合、極論を言うと、近所の方とかに役所等に通報されない限り、指摘されることはそこまでないとは思いますが、一応建築士会で建築パトロールなんかも回っていますし(私も建築士会でパトロール参加して回っています。)、例えばご自身が亡くなったときに相続人に迷惑を掛けたりもします。もちろん建物と土地を売りに出すときも困ります。(違反建築であろうと売却は出来ますが、合法建築よりは条件は厳しいでしょう。)

見る人が見れば、「違反してそう。。。」というのはけっこうわかります。建築面積については特に。

住宅・土地ともに、「自分のもの」ではありますが、それ以上に「街を作るもの」です。

自己利益だけのために建築面積を違反して、周囲への圧迫感を発生させたりしている、、という状況になってしまわないように注意しましょう。