建築模型 | 有限会社 海老原建築

有限会社海老原建築

Column

2024.06.12

建築模型

住宅に限らず、建築を計画するときにとっても有効なツールの一つが「模型」です。

技術が発展した今日でも「パース」や「3D」に完全にとってかわられてもいません。

なぜかというと、実際に目で見て確認ができるからですね。余計なことを想像する必要がないですからねー。

模型と言ってもいろいろ。スケールはどうするか、仕上がりはどこまでやるか。。などなど。。


白模型

「スチレンボード」もしくは「スタイロフォーム」で作られた、基本的に白一色の模型です。

一番楽。私の場合、電熱線カッターなども持っていないので、もっぱらスチレンボード。スチレンボードは優秀です。

“われらがレモン画翠さんから引用”

3Fに待望の4mm厚スチレンボード登場! | レモン画翠 (lemongasui.co.jp)


これがスチレンボード。発泡スチロールの両面を紙ではさんだやつ、的な材料です。厚みを使い分ければなかなかに万能。

白模型の例がこちら。

こちらはうちの「高崎の家-ni-」。白模型、といいながらバルサ材をはって木の外壁部も表現しています。でも基本的に白模型。

ちなみに完成した物件はこちら。

ボリューム感や木の塩梅なんかは十分わかりますね。


白模型は、主に建物の外観やボリュームの確認に最適です。ちなみにうちだと1/50で製作します。

1/50だと内部も少し確認は可能。(毎度提案時に作成しているわけではないのもありますが。)

周辺環境との状況確認などには1/100の方がいいかもしれませんね。

だいたい1棟で製作丸1日くらいですかね。どこまで作りこむかにはよりますが。


通常模型

白模型が基本で、特に支障もなく便利なのですが、先日行った「千波の家」では、まだ未完成ですが現場見学会を実施したため、仕上がりがわかる通常模型を製作しました。

白模型と違い、素材や着色なども行います。

せっかく作ったので、ここで工程を追って確認していきましょう。


まずは図面を印刷してカット。平面、立面とカットカット。。。


そしたら図面に合わせて平面部分、立面部分(外壁)をカットカット。。(動画を写真に撮ったので画像が粗い。。。)
図面はペラペラなのに対して、スチレンボードくんがしっかり「厚さ」があります。なので角などをしっかりやらないとおかしくなります。

ここで窓部分はくり抜いておきます。今回は最終的に窓にもプラ板を入れて仕上げています。


1階平面の基礎廻りと床が完成。土間部分もあるので、床面のスチレンボードは3枚重ねて、GLからの高さと、レベルの違いを作っています。外周部分は外壁パーツを載せるための基礎立上りを別で製作して貼り付け。今回は基礎部分にはグレーの厚紙を貼りました。




外壁を組み立てています。「千波の家」は平屋ですが狭小地のため、日照取得のために高い天井の箱になる部分がありまして、そこをファサードラタンで仕上げているので外壁の木材の表現も必要。材料はヒノキで作りましたが、実際はセランガンバツ。。木材の質感だだいぶ違うのでここはちょっと納得はしていません。。が、セランガンバツで1/50のパーツを作るのはほぼ無理なので仕方がない。。

2mm×1mmのヒノキ棒をひたすらカットして外壁に貼り付けます。(右)
・・・けっこう気が狂います。やってもやっても終わらない。


その他の部分は外壁はガルバリウム鋼板の小波葺きのため、リップルボードを使ってそれらしくしていきます。今回ガルバの色は白系。ちょっとわかりにくい。。仕上がりにて確認をば。


しかし「木」が大変。。内部のフロア材も、実際にオークの無垢材を使っているので、タモの粘着剤付の突板シートを使用。A4くらいのシートになっているのでそのままカットして広い面にペタっと張ればいいですが、それだと木目が一枚になって見た目不自然になるので、これまたひたすらカット。。

カットカットカットカット。。だいたい3mm幅に落としていきます。左から右へ、ドンドン切ったフロア材パーツが溜まっていってますねー。これも外壁同様しんどい。



フロア材パーツをピンセットで張っていく様子。。3mmの材料をひたすら張る。。張る。。

これもまた気が狂う。まあ自分のせいなんですが。。



屋根は高天井部とその他で色が違うので、2パターンの色厚紙で製作。ガルバリウム鋼板葺きですが、立ハゼ葺きのため、ハゼをヒノキ棒で製作して、それぞれ黒とメタリックで塗装して接着しています。

ハゼについては実寸よりも大きく、ピッチも粗く製作してますが、実際のサイズで実際の鉄で作ることが難しいのでこれもデフォルメは仕方なし。

「千波の家」には太陽光発電パネルも搭載しているので、パネルもパーツを作りました。(一番右)


建物が出来たら、今度は外構です。植栽、土、砂利、ウッドフェンスから、今回は狭小地ということで、周囲の隣家も作成。

建物が出来上がると、様々なツラさから開放されボーナスステージ感覚(笑)。

今回はお庭に少し山も作るので、紙粘土で製作して、平面部分との境界はボンドで成型して砂材振りかけてぼかしています。


「千波の家」はロフトもあったり、ダウンリビングもあったり、出窓も有ったりと、、作業的にはなかなか外構にたどり着きませんでした。。


ということで完成形がこちら。



こうやって完成したものを見ると楽しいですね。



写真上が南側です。すでに住宅が建っていてなかなか日照条件が厳しい。

ちなみに、日照については別途シミュレーションして確認しています。模型ではなくこっちは3Dで。


さて、気になる製作期間は、なんと1週間。。かかりすぎ。。

というのも、作業工程を動画撮影しながら製作したため、あれこれ気になってなかなか進まず、、結果1週間もかかった。。

ということで、白模型の方が現実的です(笑)それでもそれなりに時間はかかるので、「大変そうだな。。」と少しでも思ってもらえればこれ幸いです。